長らくパート1(旧版)が絶版になっていましたので、装丁を変え大野耐一さんの語録(聞き書き)を付け加えて新版として出したものです。改定するに当たって読み返したときに感じたことは、デビュー作にすべてがあるということと、当時の自分自身の興味の持ちどころ。こんなところに力を 入れているなあとか、ここの部分は理解度が低いなあとか。もちろん文章自体は粗いし、トヨタ生産方式に対しての理解度も今から思えば「????」という感じもしますが、それでも勢いやら熱意と言うものは後のシリーズには見られないです。ですから多少の手直しはしたものの、本文そのものはほぼ旧版と同じです。
　　　　◆　　　　　◆　　　　　◆
　新版の売りはなんと言っても大野語録です。実は私家版というか非売品でかつて「大野耐一かく語りき」という小冊子を 作ったのですが、これを再編して掲載したものです。この「かく語りき」を作ったときも大野さんにみせたのですが(事後承諾で作ったのです。今から思えば冷や汗ものです)その時に大野さんが「伊藤君の前ではうかつなこと言えんなあ」と苦笑いされていたのが思い出されます。当時自分は大野さんの前では絶対にメモを取りませんでした。メモを取ると相手が気構えるということを、記者稼業をしているといつも感じていたのと、メモを取るのに気がいって話に集中できないと困るという理由からです。
　でも新版もまた残部僅少になり、再度改訂版を出しました。